まさか!?遺産使い込みの白黒とは
こんばんは!
秋山です。
親が高齢となり判断能力の低下などによって、
自分で金銭管理が難しくなると、同居する子や近隣に
住む子といった身近な親族が、通帳やキャッシュカードを
事実上管理することって、よく聞きませんか。
介護施設や病院、日常生活費の支払いなどを代行する
ことは、親自身だけでなく、遠方に住む他の親族に
したら、むしろ、ありがたく思っているのではないで
しょうか。
ところがです。
いざ親が亡くなって、相続が発生すると、悲しいことに
財産管理をしていた親族が、すでに被相続人の預貯金
などの遺産を、使い込んでいるケースが散見されるのです。
当然にそんなことが発覚すれば、
他の相続人は納得がいかず、遺産の範囲について争いが
起こり、のちに相続トラブルへと発展したりするのです。
でも、
遺産の使い込みなんかはどう調査すればよいの?
使い込まれた遺産をどうやって取り戻せばよいの?
その辺のこと、よくわからないといった方は
多いのではありませんか。
今回は、遺産の使い込みの判定方法について、
ポイントとして押さえておくべきことを
できるだけ、わかりやすく解説したいと思います。
Table of Contents
遺産の使い込みを証明する3つの証拠
特定の相続人による遺産の使い込みを証明するには、
何といっても確固たる「証拠」が必要です。
以下に挙げた資料を取得し、事実調査することを
お勧めします。
被相続人口座の取引履歴を取得する
まずは、被相続人名義の預貯金口座の取引履歴を
確認することが重要です。
遺産の使い込みは、
同居している親族が、被相続人名義の預貯金口座の
通帳や印鑑、カード類なんかを勝手に持ち出し、
預貯金を自分のために使ってしまうケースが
殆どだからです。
取引履歴を見れば、何時、何処で、何のためにお金
が出金されたのかが明らかですよね。
例えば、被相続人が寝たきりなのに、一度に50万円
もの大金が出金されてたり、
被相続人が使っていなかったクレジットカードの
引き落としがあったりしたら、かなり不自然ですし、
使い込みの可能性を疑うべきです。
介護認定記録を取得する
被相続人が介護認定を受けていた場合には、
介護認定記録も役に立ちます。
預貯金からの出金があったとき、相手方、つまり財産
管理している親族は、被相続人本人が自分の意思で
出金したと反論することが多いです。
そんなとき、介護認定記録などによって、
被相続人が自分で預貯金の払い戻しや管理などを
できる状態でなかったことが証明できれば、
その取引は被相続人によるものではなく、相手方に
よる使い込みであることが立証できるわけです。
介護認定資料を取得したい場合は、
戸籍謄本など相続人であることを証明できる資料
を役所に持参して、資料開示を請求しましょう。
医療機関の資料を開示してもらう
介護認定の記録と同様に、
医療機関における診療録や看護記録、カルテなども
被相続人の状態を証明する有用な資料となります。
相続人が病院に開示請求をすれば、
協力してくれるケースは多いはずです。
使い込みが発覚した場合の対処法
調査の結果、実際に使い込みが発覚したら、
次の手順で対処してみましょう。
相手と直接話し合う
まずは使い込んだ相続人と直接話し合って使い込んだ
遺産の返還を求めます。
その際、調査の際に取得した証拠としての資料を示すと
よいでしょう。
なお、相続人が、被相続人の財産を使い込んだ場合、
本人にも法定相続分があるので、その分は差し引いて
他の相続人の法定相続分に応じた割合で返還する
ことになります。
相続人以外の人が使い込んだ場合には、
使い込んだ全額を相続人に返還する必要があります。
遺産分割調停を行う
相続法の改正で、遺産分割前に遺産に属する財産が処分
された場合でも、共同相続人全員の同意がある場合
には、処分された財産も分割時に遺産として存在する
ものとみなすことができるようになりました。
(民法906条の2第1項)
そして、共同相続人の一人又は数人により処分がされた
ときは、処分をした相続人についての同意を得ることを
要しないとも定められました。
(民法906条の2第2項)
よって、被相続人の死亡後に、遺産分割前に遺産の
使い込みが発覚した場合、
使い込みによって遺産がなくなっていたとしても、
共同相続人の全員の同意があれば、遺産が存在する
ものとして遺産分割をすることが可能なわけです。
訴訟を行う
相手と直接話し合っても、使い込んだ財産の返還に
応じない場合、訴訟を起こす必要があります。
この場合の訴訟は「不当利得返還請求訴訟」か
「不法行為に基づく損害賠償請求訴訟」となります。
ちなみに、両方同時に起こすことも可能です。
◆不当利益返還請求
不等利得返還請求とは、
法律上の理由なく利益を得た人に対して、それが
原因となって不利益を受けた人が、利益の返還を
求めることです。
遺産を使い込んだ場合、
使い込んだ相続人は権利を持たず、勝手にお金を
自分のために消費しているので、法律上の原因なく
利益を得たということになります。
従って、非相続人は相手に対して得た利益を戻せと
いった不当利得返還請求の訴訟を提起することが
できるわけです。
◆損害賠償請求
損害賠償請求といった方法も考えられます。
損害賠償請求は、加害者が不法行為を行ったことで
被害者が損害を受けた場合、その損害の賠償を
求めることをいいます。
遺産が使い込まれた場合、使い込んだ相続人は
権利なしに遺産を自分のために使っているので、
横領や窃盗行為であり、不法行為が成立するのです。
時効リスクには要注意!
相続の開始があって、相当な時間が経過してから
使い込みが発覚した場合、
不当利得返還請求権や不法行為にもとづく損害賠償
請求権には時効があり、それぞれ時効時期を過ぎて
しまうと、請求することができなくなります。
不当利得返還請求権の時効は、権利を行使できる
ときから10年、不法行為にもとづく損害賠償請求権
の時効は、使い込みの事実を知ってから3年、
または、使い込み時点から20年経過しても請求は
できません。
従って、使い込みの証拠らしきものが見つかった
時点で、まず弁護士などの専門家に相談することを
お勧めします。
親の財産管理する場合の3つのポイント
もし親の財産管理する場合は、「親の通帳から引き出した
金銭の使途の資料を残しておくこと」が重要になります。
- 親の病院代やデイサービス費用、生活費などを支払う場合は、できるだけ、親の口座から支払うようにしましょう。
- 家賃や光熱費、税金などについても、どこにいくら支払ったかが、通帳で確認できるように、口座引落しの手続きをとっておきましょう。
- 小口の生活費の支払いなどは、親の口座から一定金額を引き出して、後になっても使途が分かるように、レシートや領収書などを残しておくこともオススメです。
最期に
いかがでしたか。
遺産の使い込みを確認するには、
「証拠」が必要であることは、お分かりいただけ
たかと思います。
でも、大事なことはそれだけではありません。
相続トラブルの予防策でもある
家族とのコミュニケーションは、とても重要な
ファクターです。
例えば、親の資産はいくらあるのか
親の介護にどれくらいの費用が必要なのか
親の判断能力が正常なうちに、家族で確認して
おくこと、必要なのではありませんか。
また、実際の介護を担うのは誰にするのか、
もし介護の協力ができないなら、どのような形で
サポートするのか等を事前に決めておくだけで、
後々のトラブルはきっと少なくなるはずです。
最期までお付き合いありがとうございました。
ではまた。