浪費か投資か?不動産の節税対策
皆さんのなかでも、財産を相続する際、現金で持っているより不動産を購入した方が相続税は安価になるといったことを耳にしたことはありまんか。
確かにその通りなのですが、大した事前準備もせず、曖昧な知識だけで実行してしまうと、実は大きな落とし穴が待ち構えているのです。
では、どんなことに注意しておけばよかったのでしょうか。
今回は、節税対策でもある不動産投資について解説したいと思います。
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不動産投資がなぜ相続税対策になるのか
そもそも現金を不動産に変えるだけで、節税になるって本当なのでしょうか?
結論からすると本当です。
なぜなら、現金と不動産とでは、相続税を算定する基準が違うからです。
基本的に不動産の相続税評価額は時価よりも圧倒的にお得
不動産の相続税を算定する基準ですが、建物だと固定資産税評価額であり、土地は路線価となります。
よって、実際の不動産価格と比較すると、基本的に両方ともかなり低く評価されます。
こうした理由から、現金を持っているよりも不動産で相続した方が相続税はかなり安価に抑えられるのです。
賃家にすると土地も建物も相続性評価額がさらにお得
自己所有の土地に、自分で貸家やアパートを建てて第三者に貸している場合、その宅地は「貸家建付地」として評価され、さらに地価の評価を下げることができます。
貸家建付地の計算式は、
路線価×宅地面積(㎡)×(1-借地権割合×借家権割合(通常は30%)×賃貸割合)
※賃貸割合とは稼働率のこと
となります。
なお、貸家評価額についても、
固定資産税評価額×(1-借家権割合(通常30%)×賃貸割合)
と計算されるためダブルで評価額を抑制することになるのです。
相続対策といっても投資に変わらない
今までの説明から、不動産の購入が魅力的な相続対策であることはお分かりいただけたかと思います。
でも、残念ながら同時に、決して忘れてはいけないことがあります。
それは、不動産の購入が「投資」であるということです。たとえ、相続対策のつもりで不動産を購入したとしても、実態は「投資」なのです。
つまり、不動産の購入にあたっては、
将来きちんとその財産を守り増やすことができるかどうか、確り見極めたうえで、判断しなければなりません。
例えば、もし賃貸住宅を建てるなら、賃料からコストや返済を差し引いた収支の長期の見通しがたつかどうか、ある程度の値下げをして将来売却をしたとしても、それまでの収支で十分カバーできるかどうかなど、将来リスクに備えたいろいろなパターンを予めシュミレーションしておくべきなのです。
失敗しないための3つの心得
最後に不動産を購入するなら、注意すべき代表的な3点をご紹介しておきましょう。
業者選びは慎重に
まず、何と言っても大事なのは不動産業者の選定です。
本来、最も頼りになるのは、不動産業者であるべきなのですが、やはりビジネスが絡む以上、クリーンな提案ばかりとは限りません。高い買い物ですから、如何に信頼できる業者であり、担当者であるかについては、特に慎重になるべきです。
キャッシュフロー表は厳格に
不動産業者が持ってくるキャッシュフロー表は、基本的にはリスク計算が甘い為、鵜呑みにしてはいけません。
本来、地域によっては、将来賃料を相当額下げていくことを前提条件にシミュレーションすべきですが、業者側にとって不利になるようなシミュレーションを積極的に言及するような不動産業者はいないはずです。
考えられるようなリスクを洗い出し、購入者側でも事前に用意しておくべきでしょう。
うまい話には裏がある
不動産業者が良く使う魔法のようなワードとして、「サブリースだから安全」という言葉があります。
サブリースとは、サブリース業者(不動産業者)に物件を貸し、そのサブリース業者が第三者に又貸しします。
つまり、入居者が付かない空室の状態でも、サブリース業者から賃料をもらえるのです。
この条件だけなら、確かに魔法のワードかもしれません。
しかし、ここで確り覚えておいて欲しいのは、メリットではなく、寧ろ以下のデメリットの方です。
・手数料が10%前後かかる
・2年ごとに家賃の改定(主に下落)がある
特に、「2年ごとに家賃の改定(主に下落)がある」といった点は、後々トラブルにならないように確り理解把握しましょう。
関連資料 ⇒ サブリース新法の詳細はこちら(国土交通省HP参照)
最後に
いかがでしたでしょうか。
現金を不動産に変えて、相続税評価額を下げれば、確かに節税効果は期待できます。
でも、評価額を下げたからといって換金価値まで下げてしまっては意味がありません。
なぜなら、相続税の節税のために単なる浪費をしたのと変わらない結果だからです。
このように、相続対策は、目の前の手法に飛びつくのではなく、先見の明をもって冷静かつ客観的な判断が必要なのです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それではまた。