「空き家税6倍時代」到来?杉並区倒壊事故から考える資産リスクと葛飾区の備え

2025年9月、東京都杉並区堀ノ内で一軒の木造住宅が突然倒壊しました。区有通路をふさぎ、近隣5世帯が避難。擁壁の崩落は隣接するマンションのベランダにも影響を及ぼし、まさに「空き家放置のリスク」が現実となった瞬間でした。
この住宅は、区から改善指導を受けていたものの、工事前に崩れてしまったと報じられています。空き家が「誰かの問題」ではなく、「地域全体の安全」に関わる課題であることを、私たちは改めて突きつけられました。
※過去の空き家シリーズの記事はこちら
Table of Contents
空き家対策特別措置法の改正と税負担の警鐘

こうした背景を受けて、2025年に改正された「空き家対策特別措置法」では、空き家の放置に対する行政の対応が強化されました。
特に注目すべきは、固定資産税の軽減措置の解除です。これまで住宅用地には税の軽減が適用されていましたが、以下のような空き家にはその特例が外され、翌年度から最大6倍の税負担が課される可能性があります。
- 倒壊の危険がある
- 衛生・景観を著しく損なう
- 管理が不十分で周囲に悪影響を与える
さらに、改善命令に従わない場合は最大50万円の過料や行政代執行の対象にもなります。空き家は「放置しても問題ない」時代から、「放置すれば損失になる」時代へと変わりつつあるのです。
葛飾区の空き家事情と支援制度
葛飾区では、空き家率が都内でも高く、特に木造住宅の老朽化が進んでいます。相続後に誰も住まなくなった家が放置され、地域の景観や安全性に影響を与えるケースも増えています。
そこで葛飾区では、以下のような支援制度を設けています:
- 空き家適正管理助成制度:剪定や管理費用を最大3万円補助
- 老朽建築物除却助成金:最大200万円の解体費補助
- 空き家ワンストップ相談窓口:相続・売却・活用まで無料で相談可能
これらの制度は、空き家を「負の遺産」にしないための大切な手段です。
FP視点で考える「空き家の備え」
空き家は、放置すれば税負担や近隣トラブルの原因になりますが、早めに計画すれば「地域資源」にもなり得ます。私たちFPは、以下のような視点で空き家の活用を支援できます:
- 相続前に家族で活用方針を共有する
- 介護資金として売却・賃貸を検討する
- 地域の制度や相談窓口を活用し、計画的に進める
空き家の未来は、放置ではなく「準備」で変えられるのです。
まとめ:空き家が倒壊する前に、できること
杉並区の事故は、決して他人事ではありません。葛飾区でも、同様のリスクを抱える空き家は少なくありません。税負担が増える前に、そして地域の安全が損なわれる前に、私たちができることはたくさんあります。
空き家は「負の遺産」ではなく、「地域の未来を支える資源」にもなり得ます。地域密着型FPとして、これからも皆さんと一緒に、安心できる暮らしの準備を進めていきたいと思います。