初心者向け!遺産分割協議の手引
こんばんは!
秋山です。
「財産を相続するためには遺産分割協議が必要らしい」
「そもそも遺産分割協議はやらなくてはいけないの?」
遺産分割協議といったフレーズは相続特有のものですから、
皆さんが困惑するのも当然なのかも知れません。
そんな方々のために、今回は、遺産分割協議について
の基礎知識をご案内します。
Table of Contents
遺産分割協議の基本ハウツー
まずは、特に覚えておいていただきたい基本知識を
以下に纏めましたのでご紹介します。
-
遺産分割協議って何ですか
-
遺産について、何を、誰に、どれくらいずつ分けるのかを相続人が話し合うことです。
亡くなった人(被相続人)が遺言を残さなかった場合や、相続人が複数の場合に必要です。遺言で遺産の分け方を指定していたら、原則として遺言に従います。遺産分割協議をしないと遺産を相続人のものにできなかったり、各相続人が納める相続税額を決められなかったりします。
-
どんな手順になるのですか
-
遺産分割協議は相続人全員が参加しなければなりません。
まずは相続人を確定しましょう。
被相続人の戸籍を生まれてから死亡するまで集めることで、相続人を確定させます。被相続人に配偶者がいる場合、通常は配偶者ともう1組が相続人になります。配偶者以外の1組は民法で順位が決まっています。子、親(祖父母)、兄弟姉妹の順です。
-
他に必要なことはありますか
-
被相続人の財産を調べ、分割の対象となる遺産を確定させましょう。
親が亡くなった場合は親名義の自宅(土地・建物)、預貯金、株式、投資信託、債券などの有価証券、金など貴金属、自動車などが主な対象となります。なお、生命保険の死亡保険金は対象財産には含まれません。被相続人の死亡を原因として支払われますが「受取人は保険契約で指定されている」からです。
-
遺産の分け方にルールはありますか
-
相続人全員が合意すれば分け方は自由です。
実際には、相続人の組み合わせにより決まる法定相続割合を目安にすることが多いようです。被相続人から贈与を受けていた人や被相続人の介護をしていた人については、その分も考慮するのが一般的です。分け方が決まったら、その内容を記した「遺産分割協議書」を作成します。
※過去の関連記事 ⇒ こちら
-
どんな書類ですか
-
決まった書式はありません。
通常は遺産の全てについて、その相続人が何をどれだけ取得するかを明記します。さらに内容について確認したことを示す、相続人全員の署名と実印による押印が必要です。
※遺産分割協議書サンプル(国税庁「相続税申告のしかた」より) ⇒ こちら
-
注意点などありますか
-
不動産について記載する際は、不動産登記事項証明書(登記簿)の通りにするのが無難です。
登記簿には「地番」や「家屋番号」があり、住所だけでは「対象の土地や建物を特定できないことが少なくない」ためです。預貯金は金融機関・支店名、種類、口座番号、取得金額を書きます。
-
後から財産が見つかった場合はどうなりますか
-
相続人全員が合意すれば遺産分割協議をやり直します。
実際には時間と労力を節約するため協議書に「後日発見された財産は特定の相続人のものにする」といった文言を入れるのが一般的です。
-
協議はいつまでに終わらせなければならないのですか
-
相続税の申告・納付期限である、相続を知った日の翌日から10カ月以内が目安になります。
相続人による話し合いが複数回に及ぶこともあり、意外と時間はありません。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判により遺産の分け方を決めることもあります。
遺産分割に期限が設けられる!?
長期間放置は悪影響
上述のとおり、現行法では遺産分割の期限が設けられて
いないため、遺産分割されないまま長期間放置されて
いる土地も数多く発生してしまっています。
このような土地が増えると、所有者不明土地の増加に
繋がってしまうのです。
そこで、所有者不明土地発生を抑制することを目的に、
具体的相続分による遺産分割に期限が設けられました。
法改正で課題解決
令和3年民法改正により、遺産分割の見直しが行われ
ました。
内容としては、亡くなってから10年以内に遺産分割を
しないと法定相続分以外の分割が出来ないこととされ
たのです。
具体的には、相続開始から10年を経過した後にする
遺産分割については、具体的相続分の算定の基礎と
なる特別受益者の相続分と寄与分に関する規定が
適用されないこととされたのです。
すなわち、相続人に間接的なプレッシャーを与える
ことで、実質的に亡くなってから10年以内には
遺産分割協議を終えないといけなくなったです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
もし、遺産分割協議を行いたくても、
遠方に住んでたりして全員が集まれず、遺産分割協議書
に署名、捺印がもらえないような場合は、
少し手間かもしれませんが
Web会議システムやメールなどを利用したり、
遺産分割協議書を複数作成して、個々に送るなど
工夫やアレンジを加えた対応をしてみましょう。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ではまた。