忘れないで!相続時精算課税制度の2つの落とし穴

こんばんは!

秋山です。

皆さん、相続時精算課税制度ってご存知ですか?

耳にはするけど、詳しいことはよくわからない

といった方もいらっしゃいますよね。

今回は、この制度を利用する場合に、予め

知っとくべき注意点についてご紹介したいと

思います。

相続時精算課税制度とは

原則として、60歳以上の父母又は祖父母から、

20歳以上の子ども又は孫に対して、

生前贈与をした場合に、子ども又は孫が選択すれば

利用できる制度です。

相続時精算課税の適用を受けると、

贈与財産は、贈与者が亡くなって相続が発生した時に、

その贈与財産の価額と

相続や遺贈により取得した財産の価格を合計し、

その金額を基に計算した相続税額から、

既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を

控除して算出します。

いわば、生前贈与の贈与税を、相続時まで先送りして

相続税として納める制度といったところですかね。

※過去の関連記事  ⇒  こちら

相続時精算課税制度のメリット

単に生前贈与の先送りだけであれば、大したうまみは

ないのですが、

この制度は2,500万円の特別控除があって、

複数年に渡って、その限度額に達するまで何回でも

控除することができるのです。

一見、お得な制度のように思えませんか。

でも、この制度を選択したら、必ず覚えておくべき

大きなリスクが2つ潜んでいるのです。

相続税への持ち戻し漏れに注意

相続時精算課税制度は、平成15年の施行から

既に20年余り経過していていますので、

選択された方も多いのではないでしょうか。

ただ、この制度を選択してから贈与者が亡くなり、

相続が発生までに長い時間を要すると、

次のような問題が起こりがちです。

  • 申告書類を紛失して適用した金額が分からない。
  • 相続人がこの制度を適用したこと自体を忘れてしまった。
  • 相続人同士が不仲となり確認できない。など

いわれてみれば、確かに分からなくもないですね。

相続税の申告時、再三にわたってヒアリングしたにも

関わらず、この制度を過去に利用した事すらも

すっかり忘れてしまった、そんなケースもあるのです。

また、相続時精算課税制度の非課税枠が2,500万円

多額であるため、活用するケースも一度に高額の贈与を

行う場合が多く、その後長期間に渡って贈与が

行われないまま相続を迎えるといったケースが多いのも

理由のひとつかもしれません。

このように、時間の経過や活用の頻度が、持ち戻し漏れ

を引き起こす原因であることは間違いありません。

だからといって、

相続税申告時にこの持ち戻しを忘れると明らかな申告

漏れですので、税務調査の対象になる確率が極めて

高くなります。

当然ですが、税務署側には過去の贈与税の申告書類が

保管されていて、相続税申告書に計上漏れがないかを

確認することが出来るので、誤魔化しはききません。

課税制度の変更はできない

相続時精算課税制度を選択してしまったら、

二度と暦年課税制度を使うことは出来ません。

因みに、暦年課税制度とは「年間110万円まで資産を

贈与しても非課税となる」制度のこと。

つまり、いちどこの制度を選択したら、贈与者と受贈者

のあいだでは、たとえ贈与する金額が1円だとしても、

必ず翌年3月15日までに

贈与税の申告しなければならないのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

上述の通り、税務署側には過去の贈与税の申告書類が

保管されているので、相続税申告書に計上漏れが

ないかを確認することは出来ます。

そこで計上漏れを防ぐ手段として、申告内容の開示請求

をするといった方法もありますが、

そもそも、贈与者がこの制度を利用したことさえ忘れて

しまっていては、大して効果はないように思えます。

行政がこの制度を推奨したいのであれば、持ち戻し漏れ

防止対策の促進なんかにも、もう少し関与してもらいたい

ところですね。

最期までお付き合いいただきありがとうございました。

それでは、また。

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