持家だと老後資金は心配無用!?リバースモーゲージ
最近ではCMでも紹介されているので、「リバースモーゲージ」といったワードは耳にしますが、どんな制度かまでは、知らない方が多いのではないでしょうか。
今回は、ご存じない方のためにその制度概要と利用する際のメリット、デメリットを主に解説したいと思います。
Table of Contents
リバースモーゲージとは
住み続けながら自宅を現金化
リバースモーゲージとは、自宅を担保として金融機関に提供し、その資産価値に応じて設定される融資上限額まで、定期的もしくは随時、融資を受けることができるサービスです。
このサービスを利用すれば、自宅に住み続けながら、自宅を現金化するができます。
借金は死亡時に不動産を売却して一括返済
リバースモーゲージを利用すれば、実質的には毎月お金を金融機関等から借りることになります。
借りたお金の返済方法ですが、毎月返済しなければならない利息とともに、借金の元本自体が残りますので、契約者の死亡時に不動産売却代金で借金を返済することになります。
参考資料 ⇒ ここ ※リ・バース60利用実績等【住宅融資支援機構HPより】
リバースモーゲージの4つのメリット
この制度を上⼿に利用できれば、⽼後の⼼配を⼀挙に解決する⼿段になります。
中⾼年や⾼齢者でも借り⼊れしやすい
不動産を使って弁済するリバースモーゲージは、⼀般的な融資商品と⽐べ、年齢制限が緩い傾向にあります。
これは、弁済前の死亡による貸し倒れリスクが極めて低い商品のためです。
居住したまま資⾦を得られる
従来、自宅を利用してお金を得ようとした場合、自宅を売却して売却金を得るか、自宅を誰かに貸して賃料を得ることしか方法がありませんでした。
リバースモーゲージを利用すれば、住み慣れた家を離れずに生活資⾦を調達することができます。
返済負担が少ない
契約者が生きているうちは、利払いのみで済むといった返済負担の小ささです。利率は⺠間・公的制度共に利率は年3%以下であり、個⼈向けキャッシング商品や事業性融資(政府系⾦融機関を除く)と⽐べると低額です。
生前中であれば、元⾦の返済を求められることがないため、返済期間が決まっている他の融資商品と⽐べ、リバースモーゲージは負担が著しく少ないと⾔えます。
空き家対策にもなる
リバースモーゲージは、空き家問題の備えにもなります。居住予定のない家を承継することで、維持管理費や固定資産税により⾚字が続き、価値が低い等の理由で収益化の⽬途も経たない「負動産」となってしまうからです。
死後空き家となった家を売却してもらえるリバースモーゲージなら、相続⼈⾃⾝で出⼝戦略を計画・実施する必要がありません。
⽼後資⾦の準備・負動産化の回避をまとめて⾏える、⼀⽯⼆⿃の⼿段と⾔えます。
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リバースモーゲージの3つのデメリット
当然にメリットばかりではありません。デメリットは確り理解しておくべきです。
長生きによる債務リスク
リバースモーゲージの利払い期間は不確定であり、⻑⽣きすればそれだけ債務リスクに⾒舞われる懸念が強くなります。
滞納はともかく、担保価値低下、健康状態の悪化による収⼊減少、⾦利変動による返済額の上昇は、⾃⼒で避けようがありません。
⽣活費として毎⽉⽀出するうち、融資で得た⼿元資⾦が尽きてしまう場合も考えられます。
金利の上昇リスク
リバースモーゲージは、原則として、毎月利息を返済する必要があります。
そのため、金利が上がれば毎月支払う利息も高くなる場合があります。
不動産価値の下落リスク
リバースモーゲージは、不動産価値に応じて、融資上限額が設定される制度です。
不動産の価格は時期によって変動するため、年数とともに不動産価値が下落した場合、融資限度額の見直しがおこなわれる場合があります。
事前確認すべきこと
リバースモーゲージを検討される場合、少なくとも留意しておくべきことを3つご紹介します。
自宅の売却価格を調べてみる
後から後悔しないためにも、事前に家の査定をして実際の売却価格を調べておくべきです。
リバースモーゲージの融資限度額は、売却した場合の40%~60%程度が相場と言われていますが、自宅の売却価格を知らなければ、適正な融資額かどうかもわかりません。
事前に家の本当の価値がわかっていれば、融資限度額の上限交渉もしやすくなるはずです。
リバースモーゲージを利用するにしろ、通常売却するにしろ、まずは一度、実際の売却額がいくらになるのか調べておくべきです。
自宅が相続できないことを相続人に伝える
この制度は、契約者の死亡時、つまり相続が起こったときに終了し、担保にしていた自宅を売却した代金で債務を一括返済するものです。
したがって、相続人は自宅の土地建物を相続することができません。
ですから、その点について、契約の前に推定相続人である子などの承諾を得ておくことが不可欠となります。
金融機関によっては、契約前の商品説明に推定相続人が同席すること、あるいは契約時に推定相続人全員の承諾書または同意書の提出することを求めることもあります。
契約内容はしっかり読み込む
相続時に契約者が残した金融資産や相続人の資産で債務を返済することができれば、自宅を残すことは可能です。
逆に、自宅を売却しても債務を返済しきれないケースもあるかもしれません。
その場合、残った債務を相続人が承継しなければならないリコース型の商品と、債務の返済義務がないノンリコース型の商品があります。
相続トラブルに発展しないようにするためにも、どちらであるかは、しっかり確認しておく必要があります。
相続対策としての活用
リバースモーゲージは、主として相続財産が土地家屋のみで、預貯金などの現金資産が少ない場合、相続対策として活用することもできます。
たとえば、長男が3,000万円の自宅を相続し、次男が現金500万円を相続した場合、取得額が公平ではないためトラブルに発展する可能性もあります。
しかし、リバースモーゲージは資産の組み換えになるので、不動産から現金に変わったことで分割しやすくなります。
遺産の配分割合が公平になるので、残された家族が遺産の取り分を巡って争うことの未然防止にもなるはずです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
この制度を利用する際には、家族同士の話し合いが重要であり、相続税対策として活用する場合には税務や相続の専門知識も必要となります。
判断を誤れば却って相続税が高くなる可能性も考えられますので、もしご検討される場合は、事前に専門家へ相談することをお勧めします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは、また。