誰が世話するの?ペット信託
こんばんは!
秋山です。
現代では、高齢夫婦だけで老後を迎えるケースが増え
ています。それに伴って、寂しさを紛らわせるためか
ペットを飼う高齢者も増えているのです。
2010年「動物愛護に関する世論調査」では、
ペットを飼っていると答えた世代が
50~59歳で44.5%
60~69歳は36.4%
となっています。
(内閣府HPより)
ペットには癒し効果や認知症予防効果もあるので、
高齢者にすれば、よき相棒なのかもしれませんね。
でも、飼い主がご高齢だと、
ペットよりも先に飼い主が亡くなってしまう
場合もあります。
飼い主の家族や親族が、飼い主が亡くなった後も
そのペットの面倒をみてくれれば良いですが、
それが難しい場合もあるはずです。
また、そもそも近親の親族が誰もおらず
ペットのことを頼れる人がいない場合だって
ありますよね。
今回は、死後にペットを任せられる
ペット信託といった制度についてご紹介します。
Table of Contents
飼い主の高齢化✕ペットの長寿化
近年は、飼い主の予防意識が高まったことや
飼育環境が向上したことなどにより、
ペットの長寿化も進んでいます。
ペットの長寿化によって、飼い主が先に亡くなる
ケースも珍しくないのです。
2020年時点で、
犬の平均寿命は14.48歳
猫の平均寿命は15.45歳
と、ここ30年のあいだに平均寿命はどちらも
なんと2倍以上延びているのです。
(一般社団法人ペットフード協会調べ)
ペット信託とは
まずは、ペット信託の仕組みついてご説明します。
ペット信託とは
飼い主の死亡などに備える信託契約であり、
新たな飼い主によって飼育が継続され、費用はあらかじめ
財産を渡された家族などが支払います。
飼育や費用の支払いがきちんと行われるよう信託監督人も
設定できるので、もしものことがあってもペットは
不自由なく暮らしてゆけます。
※信託監督人とは、受益者が現に存する場合に、
受益者のために自己の名をもって受益者の権利に
関する権利(一部を除く。)の裁判上または裁判外
の行為をする権限を有する者です。
ペット信託を利用する場合は、
委託者と受託者の間で信託契約を結び、信託専用口座も
開設して資金を入金します。
同時に新たな飼い主も指定し、委託者による飼育が困難
になると信託がスタートします。
※過去の関連記事 ⇒こちら
負担付遺贈と比較すると
ペット信託のほかに、ペットの飼育を任せる方法と
して負担付遺贈があります。
負担付遺贈とは、
相続財産を受け取ったら、提示して条件を
満たさなけばいけない相続方法のひとつです。
負担付遺贈は、あくまで遺言なので、ペット信託
のような契約と違い、遺言者本人の気持ちが変われば
いつでも遺言を撤回することができます。
ただし、以下3つのデメリットも考えられます。
- 飼い主(遺贈者)が亡くなってしまった後でしか効力を発揮しません。(これでは飼い主が認知症や病気になってしまった場合に、ペットのために対策を施せません。)
- ペットの飼育がしっかりされているかチェックする仕組みがありません。
- 受遺者から放棄される場合もあります。
知っとくべき3つの注意点
ペット信託を利用すると、
あらかじめ飼い主にふさわしい施設や個人を指定でき、
業務として実行されるので、遺言よりも大きな効力を
持ちます。
また、専用口座のお金は相続財産に含めないので、
もし、相続人に争いが起きても飼育費の支払いが滞る
ことはないのです。
ここからは、ペット信託を利用する場合、
留意しておくべき3つの注意点をご紹介します。
受託者の見極め
ペット信託は画期的な仕組みとはいえ、スタートして
間もないサービスゆえ、内容の見極めが重要になります。
ペット信託を取り扱うNPO法人などもありますが、
パンフレットだけで信用せず、飼育状況は自分の目で
確認するようにしましょう。
受託者の選定
ペット信託は、自分の死後ペットを飼育してくれる
受託者を決めます。
条件に合うような受託者がすぐ見つかればいいの
ですが、それほど簡単ではありません。
というのも、
現状はペット信託による受託者の9割が個人の方
となっています。
受託者として選んだ方が万が一亡くなってしまった
場合のことを想定して、予備受託者を選定して
おかなければなりません。
また、ペットの飼育者候補についても委託者の希望
にそえる人物を見つける必要もあるのです。
費用の準備
ペット信託の利用には、契約時にまとまった費用を
支払う必要があります。
相場料金としては、
犬なら初年度で52万円
猫なら44万円程度
契約時に一括で支払いします。
条件によって、高額費用となる場合もありますが、
その分確実にペットの飼育をしてもらえるといった
安心も手に入れることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今後ペットを飼う予定があるご高齢の方は、
自分がペットの世話を見ることが出来なくなった場合
を考えたうえで、ご自身だけで決めるのではなく、
家族や親族とよく話し合って決めることが重要です。
最期までお付き合いいただきありがとうございました。
それではまた。