葛飾区で増える“否認事例”|小規模宅地等の特例が適用されない理由とは?

同居していたのに、相続税の特例が使えなかった…そんな声が葛飾区で増えています。

今回のテーマは小規模宅地等の特例です。相続時の取り扱いにあたり、注意すべきポイントを出来るだけわかり易くご紹介します。

小規模宅地等の特例とは

7月1日に公表された2022年分の路線価(1月1日時点)は標準宅地が全国平均で前年比0.5%上昇、不動産価格の急上昇に追いついていないようにも思えますが、東京都1.1% 愛知県1.2%と上昇すれば、いわゆる資産家でなくても、今後の相続税対策が気になるところですよね。

そこで、注目されるのが、一定の要件を満たせば持ち家の評価額を抑えられる小規模宅地等の特例です。

亡くなった人が住んでいた自宅の土地を配偶者や同居親族らが相続した場合に、利用できる制度で土地の評価額を80%減額できるため、節税効果が数百〜数千万になることも珍しくないのです。

例えば、土地の相続税評価額が1億円の不動産ならこの特例を利用することで、なんと2,000万円の遺産として相続税評価額を下げてくれます。

また、減額できる土地面積には330㎡までと制限があって、もし400㎡であれば、330㎡が減額となり、残り70㎡は通常の方法で評価されることになるのです。

特例の具体的要件について

簡単にこの特例を説明すると

親の家(実家)などの相続で、ある要件を満たすと330㎡まで80%減にします。

といった制度です。

制度の詳細は、国税庁HPにも掲載されてますのでここでは割愛しますね。詳しくは  ⇒ここ

この制度ではその親の家(実家)を誰が相続するかで適用できるか否かが決まってしまいます。

この適用要件ですが、まず相続する人が

  1. 亡くなった人(被相続人)と生計を一にする親族(同居の配偶者や子供)であること
  2. 同居していない相続人が相続する場合3年以内にマイホームを持っていないこと

などが挙げられます。

1.の場合は、以下の要件も必要です。

  • 相続開始前から同居していたこと
  • 相続開始から10ヶ月間、そこに住み続けること

相続開始前はどれくらいから?と思うかもしれませんが、正式な同居期間の制限はありません。

よって、常識的に考えてある程度の期間といったところですかね。

それよりも大事なことは10ヶ月間、きちんと住み続けることです。

ここは忘れないようにしましょうね。

見せかけの同居はバレる?

核家族化がすすんでいるなかいくら相続税が安くなるからといって、親との同居は簡単なことではありませんよね。

だから、「見せかけだけの同居」といった住民票を移動させただけの偽装工作をするわけです。

でも、住民票を移動しただけで同居といえのでしょうか?同居とは、自分も親も居住の用に供していることを意味し、ある程度の期間継続し、当該家族の生活の拠点として利用していること日常生活の状況、その家屋に入居した目的、その家屋の構造及び設備の状況、その他の事情を総合的に考慮し、社会通念上に照らして判断することといわれています。

    わかりやすい言葉で言い換えれば、

    家財道具が持ち込まれていて、炊事や洗濯をし、寝たり起きたり、出かけたりする本拠にしているかどうかが重要であって登記や住民票の移動をしていても、まだ住んでいなければ、ダメだということです。

     

    生計一の判断基準とは

    ここでいう「生計を一」とは、

    同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にして

    いた状態、つまり暮らしを立てるための日常生活の

    経済的側面を指して、同じ生活共同体に属しているか、

    どうかによって判断します。

    同居している場合には、明らかにお互い独立した生活を

    営んでいると認められる場合を除き、

    一般的には「生計を一にしていた」ものと認められます。

    別居している場合には、諸事情に照らして個々に

    判断することとなりますが、少なくとも居住費、食費、

    光熱費その他日常の生活に係る費用の全部又は主要な

    部分を共通にしていた関係にあったかどうかが、

    判断基準となります。

    具体的には、経常的に生活費の援助があったか、

    水道光熱費等の引落口座が同じであったか、等の側面から、

    判断することになるのです。

    税務調査の可能性も

    このように、安易に理解して、単に形式上の要件さえを満たすことで、この特例を申告する人も少なくないのです。でも、こんな申告に対し、税務署が黙っているはずがありません。つまり、後になって税務調査が入ることになるわけです。もし税務調査が入れば、税務官はいろいろな指摘は質問をしてきますので、それに対して、きちんとした反論や証明ができるように逆にこれらを満たすことができないのであれば、しておかなければならず、申告自体、否認される場合だってありますので、くれぐれも気を付けましょう。

    事前に知っておくべき3つの注意点

    生前贈与によって移転していたら適用されない

    この特例は贈与税ではなく、相続税に関する特例制度であるため、

    生前贈与によって配偶者や親族へ移転した土地には適用できません。

     

    遺産分割協議が纏まってなければならない

    小規模宅地等の特例を受けるためには、相続税の申告期限までに遺産分割協議書を作成することが必要です。

    つまり、10ヶ月以内に分割協議を纏めなければなりません。

    申告しないと適用されない

    遺産総額が基礎控除額に満たず、相続税が発生しない場合、申告義務はありませんが、

    この特例によって相続税がゼロになる場合、相続税申告を行わなければ、適用を受けられません。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。ここまで小規模宅地等の特例についての要件をご紹介してきましたが、これらの要件を満たしていても制度に関する勘違い等から、適用不可となるケースも十分考えられます。大きな節税効果が見込める制度ゆえに、大きなリスクも含んでいるものです。手続きの申請には専門的な知識が不可欠であり、慎重にことを運ぶ必要があります。相続手続きを安心して行うためにも専門家にご相談することをオススメします。

    最期までお付き合いいただきありがとうございました。それでは、また。

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