後からやってくる!相続放棄の無効判定

こんばんは!

秋山です。

今回のテーマは、「相続放棄の無効」について

わかりやすく解説したいと思います。

※過去の関連記事  ⇒こちら

相続放棄は申述が受理されても確定ではない

ご存知のとおり、相続放棄は亡くなった人の財産を

相続する権利を放棄することで、裁判所に相続放棄の

申述を行い受理されれば、手続きは完了します。

しかし、受理されたとしても、必ず相続放棄が有効と

いうわけではなく、

審査したところ、実は相続放棄の要件を満たしてい

なかったという場合、

後になって相続放棄が無効とされる場合があります。

例えば、相続放棄をする前に被相続人の財産を処分

していた場合、相続することを承認したと看做され

てしまいます。

さらに、相続放棄の後に被相続人の財産を処分した

場合も、相続財産を隠匿、消費したものと扱われ、

相続することを承認したものと看做されるのです。

このように、相続放棄が裁判所に受理されたとしても、

相続財産を処分したことが判明すれば、相続放棄が

無効となる可能性もあるのです。

相続放棄が無効となるポイントは

もしも、相続放棄が無効となれば、

相続人としてのプラス財産もマイナス財産も継承する

ことになります。

よって、もし債権者から借金の返済を求められれば、

基本的に、相続分に応じて返済しなかればなりません。

相続放棄が無効となる具体例

相続放棄が承認されるか否かは、

被相続人の財産を「処分」したといえるか

どうかがポイントになります。

相続財産を【使う】、【受け取る】といった行為は

基本的には「処分」にあたりますので、

相続放棄は無効となります。

具体的には以下のような場合ですね。

  • 相続財産を消費した場合
  • 相続財産の名義を自分名義へ変更した場合
  • 相続財産を使って、被相続人が負っていた債務を支払った場合
  • 遺産分割協議を行った場合
  • 被相続人が有していた債権に基づいて、債務者を取り立てて支払いを受けた場合
  • 払いすぎていた税金や保険料等の還付金を受け取った場合

相続放棄が無効とならない具体例

たとえ被相続人が亡くなったことをきっかけにして、

受け取るものであった場合でも、

それが、被相続人の財産を引き継ぐものではなく、

相続人が自分自身の固有の権利として受け取るもの

であれば、相続放棄が無効とはなりません。

他にも、

  • 相続人が自分自身の財産を使って、被相続人が負っていた債務を支払った場合
  • 相続人自身が受取人に指定されている生命保険金を受け取った場合
  • 未支給の年金、遺族年金や死亡一時金を受け取った場合
  • 健康保険から支給される埋葬料・葬祭費を受け取った場合

等が挙げられます。

無効を主張された場合の対処法

被相続人の債権者から、

被相続人の借金の返済を求められたような場合は、

相続放棄申述受理通知書や相続放棄申述受理証明書を

提示し、相続放棄したことを主張します。

それでもなお、債権者が相続放棄は無効であると主張

してきて裁判を起こす場合もあります。

その場合、相続放棄が法律上の要件を満たしているか

どうかが判決の重要ポイントになりますので、

根拠となる証拠とともに、しっかりと主張・立証できる

ように、あらかじめ準備しておくことが必要です。

相続放棄の無効と取消の相違点とは

無効と似たものとして、「取消原因」があれば

相続放棄を取り消すことができる場合があります。

相続放棄の取り消し手続き

騙されて相続放棄をした場合など、相続放棄の手続きを

した事情によっては、家庭裁判所に対して、

一定の期間内に相続の放棄を取り消す旨の申述をして、

それが受理されれば相続の放棄は取り消されることに

なります。

相続の承認および放棄については、

法律上熟慮期間(相続があったことを知ってから3ヶ月

以内)内であっても、

原則、撤回することはできませんが、相続人の意思能力

に問題がある場合や詐欺や強迫によって相続放棄を

した場合というような「取消原因」があるときは、

この限りではないとされています。

相続放棄の取り消しとなる具体例

以下のようなケースであれば、取り消すことができる

可能性があります。

  • 未成年者が法定代理人の同意を得ないで相続放棄した場合
  • 成年被後見人が相続放棄した場合
  • 後見監督人がいるにもかかわらず、後見監督人の同意を得ずに後見人が相続放棄した場合
  • 被保佐人が保佐人の同意を得ないで相続放棄した場合
  • 詐欺や強迫を受けたため相続放棄した場合

このように、相続放棄の取り消しについては、法律に

よって取り消し方法が決められています。

一方で、無効については、そのような方法は

決められていないため、無効かどうかを原因として

争いになっている裁判の中で、裁判所が判断すること

になるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

相続放棄が無効になるかどうかは、無効と主張されて

いる理由にもよる為、専門的判断を要するケースが

多いようです。

相続放棄の無効に関して、不安がある場合には、

ひとりで抱えず、まずは専門家に相談してみることを

オススメします。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

それでは、また。

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