高額療養費「最大38%引き上げ」──セーフティネットが薄くなる国で、私たちはどう生きるのか
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■はじめに
高額療養費制度の見直し案が公表されました。
厚生労働省は、2027年夏までに自己負担の月額上限を7〜38%引き上げる方向で調整しています。
「70%超の大幅増だった旧案よりは抑えた」という説明がされていますが、
生活者から見れば、“抑えた”と言われても十分に重い負担増です。
■ 平均所得層が最も痛む構造
読売新聞の報道によると、
平均的な年収帯(約510万〜650万円)の上限額は
約8万円 → 約9.8万円へ増加する見通しです。
さらに、年収650〜770万円層は
最大38%の引き上げとなり、負担増の中心になります。
この層は、
- 税負担が重い
- 社会保険料も高い
- 各種補助制度の対象外になりやすい
という“挟み撃ちゾーン”。
そこに医療のセーフティネットまで薄くなるのは、生活者にとって極めて厳しい現実です。
■ 「順番が逆では?」という違和感
本来、高額療養費は
「重い病気になっても生活が壊れないようにする最後の砦」
のはず。
しかし今回の見直しは、
医療提供体制の効率化や薬価制度の見直しよりも先に
国民負担の増加が来てしまっている。
制度の“盾”が薄くなると、結局は
- 貯蓄
- 家族
- 生活の余白
にしわ寄せが来る。
都市で働く普通の人ほど、その影響を強く受けます。
葛飾区でも、「普通に働いて普通に暮らす人」が最も揺らぎやすい構造が続いている。
この違和感を、私は無視できません。
■ 年間上限の導入は一歩前進だが…
今回の案では、長期治療患者に配慮して
年間上限(18万〜168万円)が新設されます。
これは確かに前進です。
しかし、月額上限の引き上げ幅が大きい以上、
「生活が壊れないための仕組み」として十分かは議論が必要です。
■ 生活者の“盾”をどう守るか
私はFPとして、
「守りと成長のハイブリッド設計」を軸に発信しています。
制度が揺らぐなら、
私たち自身が“盾”を多層化する必要がある。
- 基礎(公的保障)
- 盾(民間保険)
- 免除(特約や団体制度)
- 余白(貯蓄・流動性資産)
- 妻の医療保障
- 資産承継・介護までの長期設計
制度の変化を前提に、
「生活が壊れない設計」を自分で作る時代に入っています。
■ 最後に
今回の見直しは、
「生活者のリアル」と「制度の論理」の乖離を象徴する出来事です。
私はこれを、
“生活者の盾が薄くなる社会でいいのか”
という問いとして受け止めています。
制度が変わるなら、私たちも変わる。
そのための情報発信と選択肢の整理を、これからも続けていきます。
