得するのはどっち?生前贈与と相続税
こんばんは!
秋山です。
唐突ですが、皆さん、贈与税って相続税に比べと
高い税金といったイメージ お持ちではないですか?
でも、それって本当なのでしょうか。
今回はそんな素朴な疑問に回答したいと思います。
Table of Contents
生前贈与と相続税
■生前贈与とは
生前贈与とは生存している個人から別の個人へと
財産を無償で引き渡すことです。
相続税の節税を目的として、生前贈与をおこなうと、
相続税の課税対象になる財産を減らすことができます。
その代わり、贈与税が課税されます。
生前贈与では、次の2つの受け取り方があります。
【相続時精算課税 】
相続時精算課税制度とは、相続税と贈与税を一体化して
課税する制度です。生前に贈与を行い、相続が発生した時点
で贈与財産と相続財産を合算して税金を再計算し、既に
納めた贈与税相当額は相続税額から控除される仕組みです。
〈特徴〉
・この制度は60歳以の父母または祖父母から20歳以上の子
である子どもや孫に贈与するときに選択できます。
・一度選択すると、取り消し、暦年課税の適用や変更は
できません。
・この制度を選択した場合、受け取った額の合計が
2,500万円を超えるまで贈与税が無税になります。
・相続発生時、相続財産と合算する贈与財産の価格は
贈与時の価格となります。
【暦年課税】
暦年課税とは贈与を受けたものが1年間に受け取った財産の
合計が110万円を超えた場合、110万円を超えた分に対して
贈与税が課税される仕組みです。
〈特徴〉
・贈与を受けるものが相続時精算課税の申請をしなければ
暦年課税を選択することになります。
・期間は1月1日〜12月31日の1年間
■相続税とは
相続税は死亡した人の財産を相続によって取得した相続
人が相続財産をもとにかけられる税金です。
どちらがお得ですか?
では、どちらがお得なのでしょう。
贈与税と相続税、税率だけで比較すると
一目瞭然、贈与税の方が高いです。
例えば、贈与者(贈与を与えたもの)が兄弟2人
にそれぞれ1,000万を生前に贈与した場合、
受贈者(贈与を受けたもの)は、ひとり231万円掛かることに
なりますが、贈与者が亡くなられて相続となれば、基礎控除額
以下となり、相続税は掛かりません。
確かに税率からしても、相続税の方がお得な感じがします。
でも、それは原則であって、絶対ではないんです。
なぜならば、
相続税と贈与税は、財産を渡すときにかかる税金という性質
が同じというだけで 前提となる考え方が全く異なるからです。
皆さん、頭の中でイメージしてみて下さい。
相続税は、財産の持ち主が亡くなったことによって
相続人に全財産をいちどに渡す時に掛かる税金ですよね。
だから、小出しに財産を渡すことなんてあり得ません。
一方、贈与税はどうでしょう。
生前中に財産を渡す際に掛かる税金なので、生前中に
全財産をいちどに贈与するなんて、ちょっと
考えづらくないですか。
確かに、前提となる場面が一緒であれば
圧倒的に贈与税が高くなります。
しかし、実際には、生前の贈与は、その性質から財産を
小分けにしたり、年度も分けて贈与するはずです。
また、生前中に贈与があれば、全財産は減らせますので、
贈与税の負担が相続税よりも軽くなるわけです。
お分かりいただけたでしょうか。
このように考えると、そもそも比較すること自体
無理があったように思えます。
生前贈与と相続の関係
もし、贈与税がなくなってしまったらどうなるでしょう。
高額な贈与をされた場合でも、あとで相続税を支払わなく
ていいように相続財産を残さず使い切ってしまい、相続税が
徴収できなくなるかもしれません。
課税逃れを防止し、公平性を維持する必要があり、そのために
贈与税が設けられているのです。
次のことにも注意が必要です。
●死亡3年間の贈与と相続税
・死亡前3年間に贈与した財産は相続税の課税対象となり
生前贈与加算されます。
●相続時精算課税制度の活用
・相続開始時、贈与の総額が2,500万円を超えた場合、20%の
贈与税が掛かります。相続税を計算する時に支払った贈与税
は控除されます。
●生前贈与を受けても相続放棄は可能
・生前贈与と相続放棄は無関係な制度であり、独立して
おこなえます。ただし、上記2パターンに該当する場合は
相続放棄をおこなったとしても相続税が掛かります。
まとめ
ご存知の通り、22年度の税制改正で「相続税と贈与税の
一本化」に注目が集まりましたが、今回は肩透かしに
終わりました。
しかし、近い将来、いや早ければ今年中にでも根本的に
変わる大きな改正があるかもしれません。
そうなれば、相続税対策の根幹が変わる可能性だって
十分考えられます。
これからは常時、アンテナは張っておく必要がありそう
ですね。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
それではまた。