「親亡きあと」の不安に備えて──障がいのある息子のために家族信託を選んだ理由~具体例②~

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はじめに
「私がいなくなったら、この子はどうやって生活していくんだろう…」 障がいのある息子を育てる中で、ずっと心の奥にあった不安。 福祉制度や支援施設はあるけれど、親としてできることは何か。 そんなときに出会ったのが「家族信託」でした。
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👦 息子の将来と、私たちの不安

息子は軽度の知的障がいがあり、現在は特別支援学校に通っています。 日常生活はある程度自立していますが、金銭管理や契約行為は難しい。 私たち夫婦は60代。そろそろ「親亡きあと」の準備を本格的に考える時期でした。
📘 家族信託との出会い

福祉相談員の方から「家族信託」という制度を紹介されました。 財産を信頼できる人に託し、障がいのある子の生活を支える仕組み。 成年後見制度とは違い、柔軟に設計できる点が魅力でした。
仕組みの概要
- 委託者:私(親)
- 受託者:長女(息子の姉)
- 受益者:息子
契約によって、私の財産(預金・自宅・投資信託など)を長女に託し、息子の生活費や医療費として使ってもらうようにしました。
契約までの流れ
司法書士と福祉専門の弁護士に相談し、約3ヶ月かけて契約を設計。 ポイントは「息子が安心して暮らせる仕組み」を作ること。
- 月々の生活費の支給額
- 緊急時の医療費の支払い方法
- 将来の施設入所に備えた資金確保
- 長女が負担にならないよう、報酬の設定も検討
契約後は、信託口座を開設し、財産を移しました。
✅ 家族信託をしてよかったこと

- 息子の生活資金が確保され、将来の不安が軽減された
- 長女との役割分担が明確になり、家族の絆が深まった
- 成年後見制度よりも柔軟で、家族の意思を反映できた
何より、「親としての責任を果たせた」という安心感がありました。
💬 最後に

障がいのある子を育てる親にとって、「自分がいなくなった後」の不安は計り知れません。 家族信託は、その不安に備える一つの有効な手段です。
制度の理解には時間がかかりますが、専門家の力を借りれば、きっと納得のいく形が見つかります。 「今できることを、今のうちに。」 それが、私たち家族の選んだ道でした。
【ご参考】詳しい支援制度はこちら