父が認知症になる前に…家族信託を選んだ私たちの決断~具体例①~

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はじめに
「もし父が認知症になったら、あのアパートはどうなるんだろう?」 そんな不安が頭をよぎったのは、父が75歳を過ぎた頃でした。元気ではあるけれど、物忘れが増え、通帳の管理も怪しくなってきた。 私たち家族は、ある日「家族信託」という言葉に出会い、そこから人生が少しずつ変わっていきました。
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🧓 父の財産と家族の不安

父は都内に小さな賃貸アパートを所有していて、年金とその家賃収入で生活していました。 でも、もし認知症になったら…契約更新や修繕の判断ができなくなる。銀行口座も凍結されるかもしれない。 「成年後見制度もあるけど、自由がきかないって聞くし…」 そんなとき、司法書士の先生から紹介されたのが「家族信託」でした。
📘 家族信託って何?

ざっくり言うと、父の財産を信頼できる家族(私)に託して、代わりに管理・運用する制度。 契約書を作って、父が元気なうちに「この人に任せます」と決めておくんです。
- 父(委託者):財産を託す人
- 私(受託者):財産を管理する人
- 父(受益者):財産から利益を受ける人
つまり、父の財産は父のもののまま。でも、私が管理できるようになるのです。これなら、認知症になっても家賃収入は止まらないし、修繕もスムーズに進められます。
でも、契約書の内容ひとつとっても専門用語だらけ。正直いって最初はとても難しく感じましたが、司法書士の先生が丁寧に説明してくれて、父も納得。 「お前に任せるよ」と言ってくれたとき、少し涙が出ました。
契約には不動産の登記変更も必要で、費用は30万円ほどかかりました。 でも、これで父の財産が守れるなら安いものだと思いました。
✅ 家族信託をしてよかったこと

- 父が認知症になっても、家賃収入は滞らず、生活費も確保できた
- 修繕や契約更新も私が判断できるので、アパート経営が止まらなかった
- 相続の話もスムーズに進められた(信託契約に将来の承継者も記載)
何より、父が「迷惑かけたくない」と言っていた気持ちに応えられたことが、私にとって一番の安心でした。
💬 最後に

家族信託は、まだまだ知られていない制度かもしれません。 でも、親の財産を守りたい、家族の負担を減らしたいと思うなら、選択肢の一つとして本当におすすめです。
「もしもの前に、できることを。」 それが、私たち家族の小さな決断でした。