5分でわかる!相続土地国庫帰属法

こんばんは!

秋山です。

「価値のない土地は相続したくない!」

もし相続人となったら、そんな風に思うのでは。

皆さんならどうですか?

今回は新たに施行される「相続土地国家帰属法」

について、重点ポイントを絞り、解説させていた

だきます。

相続土地国庫帰属法とは

相続した土地が不要な場合、一定の条件を充たせば

土地の所有権を国に移転できる制度で導入を定めた

新法が2021年4月に成立しました。

来年の23年4月27日に施行し、同日から利用

希望者を受け付けます。

これは、相続登記の義務化と並んで、空き家や所有者

不明土地の増加抑制対策として位置づけられています。

相続放棄と何が違うの?

まず、相続放棄とはどんな制度なのか簡単にご説明しますね。

既にご存知かもしれませんが、

相続ではプラス財産だけでなく、例えば借金などいった

マイナス財産も承継の対象となります。

つまり、親の借金を子が相続した場合、子に返済義務

が発生してしまうのです。

でも、相続したくなければ、この相続放棄といった手続き

を取ることで、責任が免れます。

何故なら、その相続人は初めから相続人ではなかったこと

となるので、被相続人の資産・負債を承継することは

ないのです。

※関連記事は  ⇒こちら

最終的には、相続放棄すると国庫に帰属するわけで、

国が引き取るといった意味では、相続土地国庫帰属法と

何ら違いはありません。

ですが、制度としては全く別物で、それぞれの特性から

事前に知っておくべき注意点が大きく3つあります。

適用範囲

相続放棄を行う場合、資産及び負債のすべての相続を

放棄する必要があり、不要な土地や負債のみを放棄する

ことはできません。

一方、相続土地国庫帰属法は不要な土地のみを国庫に帰属

させることも可能です。

期間制限

相続放棄は原則、自己のために相続の開始があったことを

知った時から3か月以内に行わなければなりません。(民法第915条)

一方、相続土地国庫帰属法ではそのような期間の制限はないので、

いつ相続した土地についても国庫に帰属させることが可能です。

管理責任

相続放棄をしたら相続財産を一切管理しなくてもいいという

わけではありません。(民法第940条1項)

一方相続土地国庫帰属法では、土地の所有権を国庫に帰属させて

しまえば管理義務は発生しません。

相続土地国庫帰属法は使い勝手がよい!?

相続土地国庫帰属法のメリットとして、

まずは、申請できる対象者の間口が広いといったこと

が挙げられます。

一般的に、新法や法改正であれば施行日以降が対象と

なりますが、驚いたことに同制度は相続開始の時期

に関わらず、利用できるのです。

例えば、50年前に相続した土地の場合でも

構わないわけです。

また、相続に伴って不動産の所有者名義を被相続人から

相続人に書き換える相続登記を済ませなくていても

申請することができます。

ただし、申請時に相続を証明する何らかの書類は

添付することになりますが、あまり堅苦しくない

制度といった感じですね。

条件をクリアするにはハードルが高すぎ!

しかし、いいところばかりではありません。

国に引き取ってもらうには、その土地が多くの条件を

満たす必要があるのです。

その条件は、申請時と審査時の2段階に分けられて

います。

申請時の5つの却下条件(いずれかが該当すれば)

  • 建物の存する土地
  • 担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
  • 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
  • 土壌汚染対策法第2条第1項に規定特定有害物質により汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

加えて、以下のような形式的不備も門前払いの条件になります。

  • 申請権限がない者からの申請の場合(相続等以外で土地を取得したものの申請など)
  • 手数料を納付しない、添付すべき書類が添付されていない
  • 正当な理由なく土地の調査等に従わない場合

審査時の5つの不承認条件(いずれかが該当すれば)

  • 崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地
  • 工作物や樹木、車両などが地上にある土地
  • 除去が必要なものが地下にある土地
  • 隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地
  • その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は料力がかかる土地

相続土地国庫帰属法の3つのデメリット

申請する前に、少なくともこれだけは心得ておきましょう。

心得其の1「お金がかかる」

まずは、国に審査してもらうための審査手数料、国から審査が

とおった後に納付を命じられる負担金があります。

後者については、10年分の管理費用が必要となるのです。

(例えば、国有地の標準的な10年分の管理費は、市街地200㎡の

宅地なら約80万、粗放的が管理で足りる原野なら約20万ほどです。)

心得其の2「時間がかかる」

国での審査が必要となるので、審査項目が多岐に渡ります。

書面審査だけでなく、場合によっては現地調査も必要となるため、

必然的にかなりの時間を要します。

心得其の3「手間がかかる」

審査の条件が厳しいので、スムーズに審査を通そうと思うと何かと

手間がかかります。

例えば、境界調査や境界確定が必要となったり、相続登記が未了で

あれば、予め相続登記をおこなっておく必要があったり

また、建物や残置物を事前に解体や撤去したりすることも

必要かもしれません。

さらには、申請書類の作成、添付書類の準備なんかも必要に

なりますね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

この法の特徴からすると、対象者の間口が広いとはいえ、条件面の

厳しさからして、限定的になるように思えます。

しかも、申請者の金銭的負担が大きいとなれば、今のままでは

かなり抵抗感があるのではないでしょうか。

とは言え、新法ですし、これからの活用状況によって、改善の余地

もあるはずですから、今後の動きには注視すべきかと思います。

乱文乱筆お許し下さいませ。

それでは、また

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