不安からの解放!生前贈与の開示請求

こんばんは!

秋山です。

相続税の申告をした場合、税務調査に入られる可能性は

どのくらいだと思いますか?

相続税の場合非常に調査されやすく、申告数に対して

約20%といわれています。

税務調査と聞けば、

納税者にとっては、精神的にもショックを受けますし、

担当した税理士だって、時間と手間がかかり、大きな

負担となりますよね。

誰しもが、出来ることなら税務調査のリスクを最小限

にしたいと思っているはずです。

相続税の申告のうち、税務調査に発展する可能性が高い

ケースとしては、

財産の評価誤りや名義預金などが挙げられますが、

実は見落としをすると、確実に税務調査となる項目が

あります。

それは、何かというと

過去の生前贈与の持ち戻し計上です。

今回はそんな過去の生前贈与の計上漏れを防ぐための

開示請求についてご紹介したいと思います。

生前贈与の持ち戻し計上とは

ご存知のように、生前贈与の持ち戻し計上の対象となる

ものには、暦年贈与による相続開始前3年以内の贈与と

相続時精算課税制度適用による贈与があります。

※過去の関係記事  ⇒こちら

暦年贈与による相続開始前3年以内の贈与

相続開始前3年以内の贈与であれば、

受贈者自身の記憶に残っていたり、当時の申告書類が

保管されている可能性も高いので、

予期せぬ事態が起きない限り、計上漏れはないかなと

思っています。

では、相続時精算課税制度についてはどうでしょう。

相続時精算課税制度による贈与

この制度はスタートして、既に20年近くが

経過しています。

スタート当時、2,500万円までなら贈与税が

かからないといった理由で、相続時精算課税制度を

選択した方の中には、

この制度を選択したこと自体忘れてしまっていたり、

当時の申告書類を紛失したため

適用金額が把握できないなどといったケースは多い

のではないでしょうか。

また、たとえ暦年贈与の場合であっても、

相続人同士が必ずしも仲が良好とは限りませんので、

他の相続人が過去に生前贈与を受けていたか否かの

確認が困難な場合もあるはずです。

相続人がご高齢の方の場合でも、同じようなことが

言えますよね。

このような状況下で、相続税の申告をすると、

税務調査となる可能性が非常に高くなるのです。

なぜなら、

税務署側には過去の贈与申告書類が、全て保管されて

いますので、相続税申告書に過去の生前贈与の計上漏れ

がないか、簡単に確認することができるのです。

情報は相続人だけが持っているわけじゃない

確かに、生前贈与の持ち戻しに計上漏れがあれば、

十分に確認しなかった相続人に責任があります。

でも、

相続人同士、確認しなかったのではなく、何らかの

理由で確認できなかった場合は

どうしたらいいのでしょう。

実は、別に確認する方法があるのです。

先述したように税務署には、過去の贈与申告書類が

保管されているわけですよね。

だとすれば、税務署に情報開示の請求すればいいのです。

開示請求すれば、開示請求者本人の過去の

申告状況については確認できませんが、

他の共同相続人の状況については調べることが

できますので、

自分の知らないところで計上漏れが発生し、

税務調査に至るという最悪のケースは回避できます。

では、具体的に贈与税の申告内容の開示請求の手続き

について解説していきますね。

贈与税の申告内容の開示請求について

さて、贈与税の申告内容の開示請求ですが、

相続又は遺贈(相続時精算課税適用者を含む。)により

財産を取得した者のみが行うことができ、

相続税申告、相続税修正申告、相続税の更正の請求に

必要な場合のみ行うことができます。

贈与税の開示請求は

相続人ひとりひとりの単独でおこなうことが

できるという点が最大の魅力です。

なぜかって?

おそらく同種の開示手続きであれば、

相続人全員の同意が必要なケースが多いので、

単独でおこなうことができるなら

余計な手間も省けますし、すごく助かりますよね。

贈与税の申告内容となると、

開示請求対象者の過去の贈与税申告書に

ついて調べることとなるため、開示請求対象者の

住所のみならず、過去の住所についても把握する

ことが必要となります。

※開示請求対象者の「戸籍の附票」を入手すれば

過去の住所の状況が把握可能です。戸籍の附票は住所の

把握のためにのみ使用するので、開示請求書への添付は

不要です。

※正式な開示請求書のサンプル ⇒ こちら

開示請求書に添付する書類

遺産分割の状況や遺言書の有無によって異なります。

  • 遺産の全部について遺産未分割の場合は、開示請求書及び開示請求対象者の戸籍謄(抄)本
  • 遺産の全部または一部について遺産分割済の場合は、遺産分割協議書の写し
  • 遺言書がある場合は、遺言書の写し

開示書の受領

開示請求書を提出すると早い場合で1週間程度

遅くとも2か月以内には

開示書を受領することができます。

受領方法ですが、開示請求書に選択欄があり、

直接受領又は送付受領いずれかを選びことになります。

直接受領を選択すれば、受領時に運転免許証等の

本人確認書類が必要となりますし、

また、送付受領を選択すれば、開示請求書の提出時に

返信用封筒、返信用切手、住民票の写しを提出しておく

ことが必要ですね。

開示書に記載されている内容

開示請求を行ったとしても開示される内容は

相続税申告や修正申告、更正の請求に必要な必要最低限

の情報だけで生前贈与の内容は記されます。

具体的な開示書の記載内容は以下のとおりです。

  • 開示対象者の住所・氏名
  • 相続開始前3年以内の贈与に開示対象者が被相続人から贈与を受けた財産の価額の合計(相続時精算課税適用分は除く)
  • 相続時精算課税の適用を受けた財産の価額

身に覚えがなくても開示請求はしとくべき!

相続人同士の仲が良好ではなかったり、遺産相続争いが

発生しているような場合では、自分以外の相続人の過去の

生前贈与状況を把握することはかなり困難です。

そのような状況下であれば、

この開示請求は、いわば目からウロコだと思いませんか。

3年以内の贈与加算であればまだしも、

相続時精算課税制度は平成15年に施行ですから、

施行当時にこの制度を選択していたとしたら、

納税者自信、過去に適用したことを忘れていることも

あるはずです。

このようなケースでは、他の相続人から開示請求を行う

ことで、相続時精算課税制度の適用の有無を確認する

ことができますので、不安を解消する意味でも、

開示請求の検討をオススメします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

上述したとおり、贈与税の持ち戻し計上は非常に

税務リスクが高い制度です。

でも、この開示請求をおこなうことで、リスク軽減

できることは確かです。

人の記憶なんて不確かなものです。

相続税の申告前に、もし少しでも不安を感じたなら、

この開示請求はかなりオススメです。

最期までお付き合いいただきありがとうございました。

それでは、また。

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