5分でわかる!財産管理委任契約と任意後見契約の相違点

こんばんは!

秋山です。

今回は「財産管理委託契約」と類似する任意後見契約との

違いについて、わかりやすく解説したいと思います。

財産管理委託契約の基本知識

財産管理委託契約について教えて下さい

財産管理委任契約とは、身体の不調等により外出等が困難となったときに、一定の法律行為(財産管理)を受任者に委任する契約で、「任意代理契約」ともよばれています。

財産管理委任契約は、民法上の委任契約の規定に基づき、当事者間の合意のみで効力が生じます。内容においても自由度が高く、管理を委任する財産やその財産についての代理権の範囲、管理方法なども委任者と受任者との間だけで取り決めることができます。

例えば、預貯金を引き出して委任者のために必要な支払いをすることを契約内容に含めれば、受任者は、委任者のキャッシュカードを預かって預貯金を引き出して、委任者の公共料金の支払いなどをすることもできます。

財産管理委託契約はどんな人が適していますか

財産管理委任契約は、意思能力は有しているものの、体の自由があまり利かなくなって財産の管理に不都合が生じているような人に適している契約です。

よって、すでに認知症を患っていて当該契約を締結した結果どのような効果が生じるのかを理解できていない人が締結した場合、その契約は無効となります。

成年後見制度とはどんな違いがありますか

成年後見制度との大きな違いは、成年後見制度は精神上の障害による判断能力の減退があった場合に利用できるものですが、財産管理契約はそのような減退がない場合でも利用できる点です。

財産管理委託契約のメリットとデメリットとは

メリット

  • 判断能力が不十分とはいえない場合でも利用できること
  • 財産管理の開始時期や内容を自由に決められること
  • 本人の判断能力が減衰しても財産管理委任契約は当然には終了せず、特約で死後の処理を委任することも可能であること

※過去の関連記事  ⇒  こちら

デメリット

  • 任意後見契約と異なり公正証書が作成されるわけではなく、後見登記もされないため、社会的信用は十分とはいえないこと
  • 任意後見制度における任意後見監督人のような公的監督者がいないため、委任された者をチェックすることが難しいこと
  • 成年後見制度のような取消権はないこと

※任意後見契約とは

成年後見制度には、裁判所の手続により後見人等を選任してもらう法定後見制度 と、当事者間の契約によって後見人を選ぶ 任意後見制度 があります。このうち法定後見は、判断能力が 既に失われたか又は不十分な状態になり、自分で後見人等を選ぶことが困難になった場合に利用されるものであるのに対して、任意後見の方は、まだ判断能力が正常である人、又は衰えた としてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶ能力を持っている人が信頼できる人との間で将来の財産管理等を任せるため利用する制度です。 

受任者は誰を選べばいいのですか

受任者は、親族や親しい友人などから自由に選ぶことができます。受任者には、ご自身にとって重要な手続きを代行してもらうことになるため、付き合いが長く、心から信頼できる人物を選ぶとよいでしょう。

もし、自ら受任者を選べない場合は、弁護士や司法書士、社会福祉士、行政書士などといった専門職の人に依頼することも可能です。ただし、専門職の人に任せる場合、月額で数万円程度の報酬が発生するという点には注意が必要です。

契約書はどんな書式ですか

財産管理委任契約の契約書には、特に決められた形式はありません。

そのため、自由に契約書を作成することができます。

ただし、後から契約の効力について争いが発生するなどのトラブルを避けるためには、公正証書で作成することをおすすめします。公正証書は公証役場において公証人が契約書を作成するため、たとえ作成方法がわからなくても作成できます。

将来のトラブルを避けるためにも

財産管理委託契約と任意後見契約をセットで利用することを

おすすめします。

財産管理委託契約から任意後見契約への移行

判断能力が十分ある内に後見人を選定し、判断能力が低下

した場合に、財産管理委任契約から任意後見契約へと

移行する契約を締結しておくと安心です。

任意後見契約へ移行されれば任意後見監督人が選任される

ため、不適切な管理などを防ぐことも可能になります。

ただし、財産管理委任契約から任意後見契約へ移行する

には、本人の判断能力の低下に本人や家族が気付いて、

任意後見監督人選任の申立てを行う必要があります。

見守り契約の付加

本人の判断能力が低下しても任意後見監督人選任の申立て

が行われない可能性があるため、そのような事態を避ける

ために、見守り契約を付け加えることもあります。

見守り契約は、任意後見監督人選任までの期間、

任意後見契約の受任者とは異なる見守り契約の受任者が

委任者と連絡を取ることや面談することにより、任意後見

の開始を判断する契約のことです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

上述したとおり、財産管理委任契約は、

任意後見契約や見守り契約と組み合わせることによって、

将来的に判断能力が低下した場合でも、

自分の大切な財産を適切に管理してもらうことが可能に

なるのです。

いまから検討してみてはいかがでしょうか。

もし、不安や疑問に思うことがあれば、一度専門家に

相談することをおすすめします。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

それでは、また。

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